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メーガン・ラピーノ、TwitterでFIFAに物申す

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 FIFAの女子ワールドカップの公式Twitterアカウントが2月最後の日に呟いた「10年後の女子サッカーはどんな風になっているでしょう?ご意見下さい」というツイートに付された一枚の画像が事の発端となった。

 このツイートに対してその50分後にTwitterリプライで物を申したのが、アメリカ代表メーガン・ラピーノだった。ラピーノ曰く、「まぁ、こんなバカみたいな写真のようでは絶対にない」(下のツイート)。

 いきなりの世界レベルのプレーヤーからの批判的な意見に驚いたのか、FIFAの女子ワードカップのアカウントは直ちに弁解をした。

 「メーガン選手。この写真は、”Live Your Goals“というアイルランドフットボール協会とFIFAとの合同の催し物での写真です。お気に召されなかったのならごめんなさい」

 それに対してのラピーノの返事は「女の子のためのサッカーの宣伝にならいいかもしれないけれど、より高いレベルの女性のサッカーのためとしては納得できません」というものだった。これでFIFAとの主なやり取りは終わる。


 「メーガン、何をそんなに怒ってるんだい?」とお思いになられる方もいるかもしれない。FIFAは10年後について尋ねるているのだから、10年後に大人としてプレーをする年齢の「女の子」が写っている写真を付したFIFAの動機もわかる。

 ただ、日頃からラピーノがFIFAのことを良く思っていないとしたらどうだろうか。

 ラピーノは、世界レベルのサッカー選手であると同時に、2012年に同性愛であることをカミングアウトしてからは特に、同性愛者への差別や偏見とも戦っている。ロシアで同性愛プロパガンダ禁止法が成立した際の人権キャンペーンにも賛同し、そのポスターでの起用に応じた。女子サッカー界だけでなくアスリート全体として見ても、平等のために積極的に行動する選手のひとりなのだ。

 FIFAには、同性愛者のことに関して、以前トラブルを起こした過去がある。正確にはFIFAというよりは、そのボスであるブラッター氏が引き起こしたことなのだが、彼は2010年のある会見の場で以下のような発言をした。

ブラッター会長の写真
ブラッター会長

 (2022年のカタールワールドカップを見に行かれる)同性愛者の方々は、(カタールにいる時は)どんな性的な行為も慎むべきでしょう。

 前提として、カタールでは同性愛は刑罰の対象になっている。この発言の後にはサッカーが文化的な違いを乗り越える架け橋になる、どんな差別もピッチの上では関係なくなる云々というような文言がつづくので、同性愛者を排斥する意図は薄かったと見られる。言わばこれは「あの子、大事な時はいつも転ぶ」というソチ五輪中の日本の元首相に見られたような、開場を笑わせようとした趣味の悪い冗談が、結果、失言として受け止められるというパターンだった。しかしこの出来事は、ただでさえカタール開催を喜んでいなかった人々に対して火に油を注いだ恰好になってしまった。


 イングランド女子代表の主将、ケイシー・ストーニーは、今年の2月にカミングアウトをした。それを伝える記事でもFIFAについて触れられている部分がある。ストーニーはチームメイトの内では言う事を躊躇っていなかったものの、公にする上では恐れから10年近く言えなかったという。その理由のひとつとして、ストーニーは「サッカーの文化に問題があると強く思っており、そして世界のサッカーの運営母体であるFIFAはロシアとカタールに開催権を与えることで悪しき前例を作ってしまった」と考えている。また、「そこでは受け入れることはないだろうからロシアとカタールにワールドカップを見に行くことは無いだろう」とも述べている。

 FIFAがロシアを2018年の開催地にロシアを選んだその3年後の2013年に同性愛プロパガンダ禁止法が成立したことも相まって、レズビアンの女子サッカー選手のFIFAへの印象はいっそう良くないものになっている。ラピーノがTwitterで憤ったのも、写真そのものの問題に加えてこういった背景もあったのかもしれない。


参考リンク