advertisement.

HOME<書かれた記事の一覧<2014年03月

Month: 3月 2014

 なでしこジャパンはデンマーク代表とアルガルベでは今回で3年連続の3回目の対戦となる。過去2回の成績は、2012年、2013年ともに2-0といずれも勝利している。昨年の試合の得点は、17分の川澄と41分の大儀見によるものだった(以下のYouTube動画は昨年のハイライト動画)。

 デンマーク女子代表は、最新のFIFAランキングでは13位に位置している。アルガルベでの過去2回の結果から見ても、安全に勝つことのできる相手に見えるかもしれない。

 しかし、デンマーク代表は、昨年スウェーデンで開催されたUEFA 2013で好成績を残している。グループリーグでは2分け1敗という結果で、辛うじて決勝トーナメントに進出をしたくらいだったものの、ノックアウトステージでは、グループCを3戦全勝で勝ち抜いたフランスをPKの末破り(スコアは1-1)、準決勝に進出。決勝をかけたノルウェーとの試合では、0-1のビハインドの中、マリアン・クヌーセンの終了間際のゴールで追いつき、延長戦に持ち込んだ。ノルウェーとのPK戦では敗れたものの、ベスト4という結果で大会を終えた。

 ロンドン・オリンピック準決勝でたくさんのシュートでなでしこジャパンを脅かしたフランス代表と、昨年のアルガルベで日本代表に2-0で勝利したノルウェー代表に対して、互角かそれ以上に戦い合ったということは、手強い相手には変わりないということの証明になっている。

デンマーク女子代表のUEFAでのフォーメーション

 チームとしての特徴をUEFAがUEFA2013大会後にまとめたレポートから一部引用する。

  • ・4-2-3-1か4-4-2で基礎とした、自信に満ち、構成されたコンビネーションプレー。
  • ・バランスとボール供給に長けたソンダガード・ペダーセンのMFとしての際立った能力
  • ・冒険的な両サイドバックの縦横無尽な攻撃参加
  • ・クヌーセンとハーダーという中央の攻撃的プレーヤーのオン/オフザボールの上手さ
  • ・GKペーターセンのコンパクトで堅実な守備
  • ・ 高いレベルのスタミナと戦術的な意識。訓練され、よく組織されたチーム

 デンマーク代表は今大会、メンバーを大きく変更してきている。例えば、上のキープレイヤーとして上げられているペダーセンは、昨年妊娠を公表し、代表から退いた。アルガルベ初戦と上のフォーメーションにあるノルウェー戦の、両方で先発出場した選手は、ペターセン、ヴァイェ、ニールセン、クヌーセンの4選手しかいない。また、若手ながら既にチームの攻撃の柱であったハーダーは先週土曜日に怪我をして離脱している。

 これらの新しい顔ぶれがなでしこジャパンとどのような試合を繰り広げるのか。それは試合を楽しみに待つ事にしよう。本日のテレビ放送は、23時からフジテレビ系列で行われる。


 FIFAの女子ワールドカップの公式Twitterアカウントが2月最後の日に呟いた「10年後の女子サッカーはどんな風になっているでしょう?ご意見下さい」というツイートに付された一枚の画像が事の発端となった。

 このツイートに対してその50分後にTwitterリプライで物を申したのが、アメリカ代表メーガン・ラピーノだった。ラピーノ曰く、「まぁ、こんなバカみたいな写真のようでは絶対にない」(下のツイート)。

 いきなりの世界レベルのプレーヤーからの批判的な意見に驚いたのか、FIFAの女子ワードカップのアカウントは直ちに弁解をした。

 「メーガン選手。この写真は、”Live Your Goals“というアイルランドフットボール協会とFIFAとの合同の催し物での写真です。お気に召されなかったのならごめんなさい」

 それに対してのラピーノの返事は「女の子のためのサッカーの宣伝にならいいかもしれないけれど、より高いレベルの女性のサッカーのためとしては納得できません」というものだった。これでFIFAとの主なやり取りは終わる。


 「メーガン、何をそんなに怒ってるんだい?」とお思いになられる方もいるかもしれない。FIFAは10年後について尋ねるているのだから、10年後に大人としてプレーをする年齢の「女の子」が写っている写真を付したFIFAの動機もわかる。

 ただ、日頃からラピーノがFIFAのことを良く思っていないとしたらどうだろうか。

 ラピーノは、世界レベルのサッカー選手であると同時に、2012年に同性愛であることをカミングアウトしてからは特に、同性愛者への差別や偏見とも戦っている。ロシアで同性愛プロパガンダ禁止法が成立した際の人権キャンペーンにも賛同し、そのポスターでの起用に応じた。女子サッカー界だけでなくアスリート全体として見ても、平等のために積極的に行動する選手のひとりなのだ。

 FIFAには、同性愛者のことに関して、以前トラブルを起こした過去がある。正確にはFIFAというよりは、そのボスであるブラッター氏が引き起こしたことなのだが、彼は2010年のある会見の場で以下のような発言をした。

ブラッター会長の写真
ブラッター会長

 (2022年のカタールワールドカップを見に行かれる)同性愛者の方々は、(カタールにいる時は)どんな性的な行為も慎むべきでしょう。

 前提として、カタールでは同性愛は刑罰の対象になっている。この発言の後にはサッカーが文化的な違いを乗り越える架け橋になる、どんな差別もピッチの上では関係なくなる云々というような文言がつづくので、同性愛者を排斥する意図は薄かったと見られる。言わばこれは「あの子、大事な時はいつも転ぶ」というソチ五輪中の日本の元首相に見られたような、開場を笑わせようとした趣味の悪い冗談が、結果、失言として受け止められるというパターンだった。しかしこの出来事は、ただでさえカタール開催を喜んでいなかった人々に対して火に油を注いだ恰好になってしまった。


 イングランド女子代表の主将、ケイシー・ストーニーは、今年の2月にカミングアウトをした。それを伝える記事でもFIFAについて触れられている部分がある。ストーニーはチームメイトの内では言う事を躊躇っていなかったものの、公にする上では恐れから10年近く言えなかったという。その理由のひとつとして、ストーニーは「サッカーの文化に問題があると強く思っており、そして世界のサッカーの運営母体であるFIFAはロシアとカタールに開催権を与えることで悪しき前例を作ってしまった」と考えている。また、「そこでは受け入れることはないだろうからロシアとカタールにワールドカップを見に行くことは無いだろう」とも述べている。

 FIFAがロシアを2018年の開催地にロシアを選んだその3年後の2013年に同性愛プロパガンダ禁止法が成立したことも相まって、レズビアンの女子サッカー選手のFIFAへの印象はいっそう良くないものになっている。ラピーノがTwitterで憤ったのも、写真そのものの問題に加えてこういった背景もあったのかもしれない。


参考リンク

 アメリカ代表は今年に入ってから、カナダと1試合、ロシアと2試合の計3試合を行っている。結果はいずれも勝利で、スコアはそれぞれ1-0、7-0、8-0となっている。大勝した試合は、格下ロシアということもあるものの、それを差し引いて考えても高い攻撃力を誇っていることには変わりない。

 “杖のとれたモーガン しかしファンからは「焦らないで」”で記事にしたように、アメリカ代表は現在アレックス・モーガンという攻撃の柱を怪我で欠いている。しかし、それでもこれだけの攻撃水準を維持しているのは、フォワードの層の厚さに由来する。

2014年1月に行われたアメリカ対カナダの試合のアメリカ代表のフォーメーション

 アメリカ代表のサーマンニ監督は、今年に入ってからはいずれも4-4-2のフォーメーションで試合に挑んでいる。そのフォワードのうちの左側はワンバックでほとんど固定だが、そのもう一方を主に2人の選手がモーガン不在を感じさせない程、実力でカバーしている。ルルーとプレスの2人だ。

 シドニー・ルルーは、モーガンよりも1歳下の現在23歳の選手。クラブはシアトル・レイン所属。年齢的には若いが、既に代表キャップ数は46で、通算ゴール数は26に及ぶ。先日のカナダ戦の決勝ゴールはルルーによるものだった。プレイスタイルとしては、見方が前線にロングボールや長めのスルーパスを放り込み、自らは脚の速さをもってボールに直進し、脚下に納めた後はキーパーとの1対1に持ち込んでゴールというパターンがよく見られる。これはどことなくモーガンを想起させる。

 一方の、クリステン・プレスは昨年A代表デビューした選手で、2013年は12試合に出場し、8ゴールと活躍した。1988年12月29日生まれの現在25歳。今年に入ってからは、いずれもフル出場ではないが、3試合すべてでプレーし、ロシアとの2試合のうち3ゴールを上げている。クラブチームでは、NWSLのシカゴで4月からプレーする事が決まっているが、2013シーズンでは、スウェーデンリーグのティレソーに所属していた。リーグ戦では20試合に出場し、23ゴールの活躍を見せた。

2014年2月8日に行われたアメリカ対ロシアの試合のアメリカ代表のフォーメーション

 アメリカ代表のフォワードでは、ワンバックとこの2人の他に、代表100キャップ越えの経験ある中堅のロドリゲスと、バイエルン・ミュンヘンLで着実に結果を残し実力をつけている長身のサラ・ヘイゲンがいる。

 なでしこジャパンとしては、岩清水、熊谷のコンビで、シンクレア、シェリンをロンドンオリンピックで封じたことからも、実力的には十分対応可能なことは明らかだ。しかし、フォワードは抑えたものの、2列目の選手にしてやられたというのがロンドン五輪決勝でのロイドによる2ゴールだった。

 メンバーがほとんど完全に揃った上での日本代表で、なおかつアメリカ代表が相手という好カードはあの決勝以来。キックオフは5日21時45分(日本時間)で、テレビ放送はTBS系列で行われる。

2014年2月13日に行われたアメリカ対ロシアの試合のアメリカ代表のフォーメーション


 ちなみに、モーガンの怪我の経過状況は、3月3日に自身のTwitterにアップロードされたリハビリの様子の写真(参照)から、まだ左足首のサポートブーツが取れていないことが確認できる。開幕に間に合うかどうかはまだ未知数といったところだろう。

 2014年8月5日から8月24日に渡ってカナダで開催される、U-20女子ワールドカップ2014の組み合わせ抽選会が、カナダのモントリオールで行われた。開催国のカナダは、開幕戦でガーナと戦うことになった。なお、U-20日本女子代表(ヤングなでしこ)の今大会の出場は予選で敗れたために無い。

 組み合わせは以下
[A組]カナダ、ガーナ、フィンランド、北朝鮮
[B組]ドイツ、アメリカ、中国、ブラジル
[C組]イングランド、韓国、メキシコ、ナイジェリア
[D組]ニュージーランド、パラグアイ、フランス、コスタリカ

 「死の組」があるとすればそれは、前回大会の優勝国と準優勝国である、アメリカとドイツの入ったB組であろう。アメリカとドイツの試合は、開幕日の8月5日にエドモントンで行われる。

 参考リンク:Finalists reunited in Canada 2014 draw

advertisement.

 なでしこジャパンが出場するアルガルベ・カップと同時期にキプロスではキプロス・カップ2014(3/3から3/13まで)が開催される。こちらの大会もアルガルベ同様、12のナショナルチームが集まって順位を争う。FIFAランキングの上位3チームが出場することを考えると、アルガルベ・カップの方が大会としてレベルが高いのでは、と感じるかもしれないが、実際に並べてみると、一概にもそうとは言えない結果になった。なお、ブラジルとスペインはどちらの大会にも出場していない。

アルガルベカップとキプロスカップの出場国をFIFAランキング順にインフォグラフィックで紹介しています。