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今シーズン5戦目の湯郷vs浦和。80分にみせた泊と石井の中野へのプレスに年間勝者のディシプリンを見た

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今シーズン5戦目の湯郷vs浦和

2014年の国際女子サッカークラブ選手権(IWCC)の3位決定戦は、日本のクラブ同士の対決となった。レギュラーシリーズの勝者、岡山湯郷ベルと、エキサイティングシリーズの勝者(年間優勝)、浦和レッズレディースの間で行われたこのカードは、両シリーズの勝者同士のプレーオフ感覚としても楽しめるものだった。

この試合で浦和と湯郷は、今シーズン公式戦5試合目となった。過去4試合の成績は、浦和が3勝、湯郷が1勝で浦和が勝ち越していた。湯郷の1勝は、2014年の初顔合わせとなったなでしこリーグ第6節(5月4日)の試合だ。この戦いで湯郷ベルは、ホームの浦和を相手に完勝した。宮間あやの個人技( 2点目のフリーキックによる得点、3点目の終了間際のミドルシュート)もさることながら、左MFの中野真奈美、右MFの浅野未希、この素早い左右のMFがドリブルで中央に切り込んで何度もチャンスを作った。

その後の3試合では先に述べた通り、浦和の3連勝となった。3度目の対戦となった、再びホームの駒場スタジアムに湯郷を迎えたエキサイティングシリーズ第4節(10月10日)では、今述べた試合のリベンジを果たすように、80分台の3得点を含む計4得点で4-1で快勝した。

そして、今シーズン5回目の対戦となった12月6日のIWCC2014の3位決定戦。

試合は序盤から浦和ペースで進んだ。4分には、左サイドの和田奈央子からゴール前の後藤三知へ、5分には、この日右MFとして出場した齊藤あかねから吉良知夏へと、正確な対角線のクロスが入り、それぞれシュートで終えた。吉良のシュートは、この試合で初の枠内シュートとなった。浦和は立ち上がりに作った流れのまま、13分にに先制点をあげる。後藤の放ったシュートが湯郷のセンターバックのひとり髙橋佐智江の肩にあたり、ボールの軌道がかわってゴール左隅に入った。

前半は、湯郷のキーパー福元美穂が負傷するトラブル(後述)があったが、1-0のスコアのまま終了した。

後半も口火を切ったのは浦和だった。59分に柴田華絵がヘディングで得点し(齊藤の見事なアシスト)、2-0とした。一方の湯郷は、62分にペナルティエリア手前でフリーキック得たが、宮間のシュートはキーパーが正面でキャッチした。直後に、中盤でボールを受けた宮間からペナルティエリア内の有町紗央里へロングパス。有町は頭で中央へ落とし、最後はキーパーの前で松岡実希へと渡るものの、デフェンダーに囲まれうまくシュートできずに(同時にオフサイドで)得点までは至らなかった。

その後試合は再び浦和のペースになる。浦和は、70分台に立て続けに3枚メンバーを変えた。76分から出場した大滝麻未はこの試合の前にギャンガンへの移籍が明らかにされていた。大滝はピッチに入って早々、臼井理恵からのクロスに頭で合わせるも、これはゴール右枠外に外れる。この早稲田ア式蹴球OGラインを次に見られるとすれば代表だろうか。その2分後にまたしても大滝のチャンス。再び左から、今度は後藤から放たれたパスをヘッドで決め、惜別のゴールとなった。これで3-0。

終了間際には、湯郷の最終ラインでコーナーキックからのクリアボールを拾った布志木香帆がボールの扱いに失敗したところを、途中出場の泊志穂が逃さずボールを奪取し、ここから浦和のカウンターとなった。センターサークル内でボールをキープした泊は、岸川奈津希へと一度戻し、その岸川から清家貴子へ、清家から最後は臼井へと渡り左脚で振り切ってフィニッシュ。試合を決定づける4点目が決まった。試合はこのまま、4-0で終了。浦和が、IWCC2014の3位のタイトルを手にした。


80分にみせた泊と石井の中野へのプレスに年間勝者のディシプリンを見た

湯郷はこの試合、完敗だった。公式記録のシュート数を見ても、6-23と大きく下回ってしまった。チームの柱である宮間は、元から献身的なプレースタイルの浦和の柴田に徐々にフィジカル面での改善が見られることもあり、中盤での展開に苦労する場面があった。この試合の湯郷は、セットプレーのチャンスに恵まれなかったわけではないが、この試合ではそこから得点に繋がることはなかった。

今年の初顔合わせで大活躍した中野と浅野は、浦和側で対策が徹底されていた。それが最も顕著だったのが、85分の石井咲希と泊がペナルティエリア付近でボールを持った中野に対してすかさずプレスをかけ、相手の機会を潰したシーンだった。71分にも齊藤と堂園彩乃が2人で挟むシーンはあった。しかし、泊と石井の2人は、今シーズンのリーグで、2人を合わせても合計22分しか出場していない(石井の2試合分のみ)。にもかかわらず、レギュラークラスの選手と同等に実戦でプレスをかけることができるというのは、チームの規律という面で高い水準にあることを示している。このプレーに年間勝者のディシプリンを見た。

もっとも、中野、浅野は完全に封じられていたわけではない。浅野は53分にはこの試合で初めて持ち前のドリブル突破を見せてコーナーキックを獲得したし、中野は2回以上(スローから相手2人をかわした11分など)成功させてチャンスを作った。しかし、両者ともこの数回にとどまってしまった。ベレーザの有吉や、新潟の小原のように自分で前線に上がって勝負できるタイプのサイドバックがいれば、湯郷にも別の選択肢は生まれたはずだが、現在はそういった選手がいないのが現状だ。


福元の負傷と代わって入った青柳について

この試合の20分台に、湯郷のキーパー福元がペナルティエリアにボールが入るか入らないないかというところに飛び込んできたボールをヘディングでクリアしようとしたときに、浦和の後藤と衝突してしまうアクシデントがあった。これによって、福元は左目付近を負傷し、退場を余儀なくされた。代わりに急遽、シーズン途中から加入した青柳麻理鈴が入った。

ここで、十分にアップする時間がなかったことを加味する必要があることを前提にして、初出場となった青柳について触れておきたい。ゴールキックの正確さにおいては、やはり代表の福元と比べても見劣りしてしまう部分はある。だが、後半1分に浦和の岸川が放った枠内へのミドルシュートを、弾いても十分ファンプレーというところをダイビングキャッチでセーブし、キャッチング能力の高さを初出場で自ら証明したと言える。自身が出場した後に3失点となってしまい、デビューとしては「ほろ苦」かもしれないが、今後を期待できるキーパーだろう。

両チームの間で今期6度目の対戦があるとすれば、皇后杯決勝まで共に勝ち進んだ場合となる。